365mm

毎日1mmでも成長し続けるためのヒントやきっかけを集めたブログです。

めっちゃ重要なのに、なかなか言えないある言葉

 

私はひねくれている。

素直じゃない。

誰かがわたしに何かしてくれたときに、言えない。

素直に、言えないのだ。

 

そう、ある言葉が。



「ありがとう」

 

これがわたしは言えない。

 

正確に表現するなら、口に出すことはできる。しかし、どうも心の中から、という感じがしない。「ありがとう」と口に出すと、なんだか照れくさいような、恥ずかしいような感じがしてしまうのだ。だから、気持ちを込めて言えていない。いざいうときも、「ぁざっす」とか「あざまーす」とか、照れを隠すようにして少し誤魔化してしまう。

 

あなたはどうだろうか?  

素直に「ありがとう」とハッキリいうことができますか?

 

「ありがとう」という言葉は、人間にとって重要な言葉だ。それは人間の自己承認欲求に関係がある。人間は、一人では生きていけない。自分ではない誰かに、自分の存在を認めてもらう、認識してもらう必要がある。その欲求が自己承認欲求である。そして、ありがとうという言葉は、その欲求を満たすのに適している。「ありがとう」と言われるだけで、自分が生きている、認められていると感じることができる。それは死期間際の老人にも伝わるし、まだ会話ができない1、2歳の子供でも理解できる。

 

そんな大事なことばを、わたしは言えない。

 

いや、今となっては「言えなかった」という方がふさわしいとおもう。

わたしを変えてくれたのは、妻だ。

 

妻とは3年前から一緒に暮らしている。

一緒に暮らすと、普段の癖だったり、小さな習慣だったりに気付く。

妻にも、付き合っている時には気づかなかったことがあった。その一つが、「ありがとう」の習慣だった。彼女は「ありがとう」をまめに、しっかりと、はっきりと、いうのである。一緒に暮らし始めて、わたしは、「ありがとう」と言われまくった。1日に何度も何度も言われた。そんなに1日に何度も言われたことなんてなかったから、変な感覚だったし、最初は戸惑った。

そんな違和感を感じつつも言われ続け、わたしの中にある変化が訪れた。

それは、彼女への感謝だった。

買い物してきてくれた、「ありがとう」

掃除をしてくれた、「ありがとう」

ご飯を作ってくれた、「ありがとう」

洗濯してくれた、「ありがとう」

 

しかし、わたしはちゃんと言えなかった。

いざ言おうとしても、目を見れないし、はっきりとも言えなかった。

「ぁざぁす」

これが限界だった。

 

ありがとうという言葉が人間にとって重要であることは百も承知なのに、それなのに言えなかった。

 

自分が結婚したからなのか、離婚や別居の話によく気がつくようになった。わたしの友人でも離婚した人、別居している人がいる。その理由はカップルによって様々だと思うが、その理由の多くは、お互いを認め合えないことが原因じゃないかと思っている。繰り返しになるが、人は独りでは生きていけない。一人は大丈夫でも

孤独はだめな生き物である。だから、結婚して一緒に暮らし、自分の居場所を確保している。

 

私たち夫婦も同じである。お互いに認め合うことが必要だ。

しかし 、わたしは「ありがとう」が言えない。相手を認める最大の武器を持っていない。持っていたとしても、かなり小さいか弱め。でもそんなわたしに彼女は「ありがとう」を与え続けた。来る日も来る日も与え続けた。

妻から「ありがとう」と言われるたびに、認められて嬉しい感情と、素直に言えない自分に落胆した。

毎日そうやって言ってくれる妻に、なんとか恩返しをしたいと思った。

なんとか自分からも伝えたい。心から「ありがとう」と言えるようになりたい。そんな想いが芽生え始めたのだ。

 

もし、これを読んでいるあなたが、結婚しているのなら、早速「ありがとう」と伝えてみよう。理由はなんでもいい。いつも家事をやってくれていることでもいいし、ただいつも生きていてくれることでもいい。特に、結婚したばかりの夫婦や婚約中の人はかならず「ありがとう」としっかりいうことを今のうちに習慣にしてほしい。子供が生まれたり、月日が経つと、精神的にも体力的にも辛い時がある。その時こそ、お互いに「ありがとう」ということで乗り切ってほしい。必ず二人の助けになる。

 

同棲を始めて4ヶ月。同棲してはじめてのわたしの誕生日に、彼女は手作りのケーキを作ってくれた。わたしの好きなチョコのケーキだった。

嬉しかった。

純粋に幸せを感じた。

こころから「ありがとう」を伝えたくなった。

 

「あ、ぁりがとう 」

 

なんともぎこちない、

覚えたての単語を初めて発音したような感じがあった。

 

妻は一瞬止まったようだったが、すぐににっこりと笑ってくれた。

「どういたしまして」

暖かな雰囲気が2人を包んだ。

 

《終わり》